自社の株式を子どもに譲りたい!相続時精算課税制度を選択したらどうなる??
そろそろ会社を子どもに引き継ぎたい・・・
事業を引き継ぐにあたり、相続や譲渡の問題など、ひとつひとつのハードルが高い現実に頭を抱えていませんか?
例えば、自社の株式を子どもに承継する場合、「贈与」か「相続」かで悩まれる方も多いのではないでしょうか。
判断の決め手は、株式を所有している先代の経営者(親)がどのように、どのようなタイミングで子どもに自社株式を承継したいのかを明確にすることです。
今回は、生前に自社株式を子どもに承継することで発生する贈与税の問題に注目して考えていきます。
株式を長男に贈与したい!→莫大な贈与税が発生する?
「莫大な贈与税を支払うために、銀行から借入しなくてはいけない・・・」
「贈与税より相続税のほうが安いから、相続で株式を譲るようにするべきなのか?」
株式を子どもに承継するとき、このような問題にぶつかり、先に進めずに困っているというご相談を受けることがあります。
莫大な贈与税が発生することを理由に自社株の贈与を躊躇したり、株価の低いときが株式を譲渡する絶好のタイミングと捉え、株価を抑えるように会社の業績があまり上がらないようにしよう・・・と考えるのは本末転倒ですよね。
そんなときの有効な手段が、「相続時精算課税制度」を利用する方法です。
相続時精算課税制度について
【相続時精算課税制度】
申告することで、2,500万円までは非課税となる制度。
2,500万円を超えた場合には、超えた分に対して一律20%の贈与税(通常の贈与税より低い税率)が課税されますが、この時に払った贈与税は、相続発生時に相続税から差し引かれます。
ただし、毎年の贈与税の基礎控除110万円は使えなくなるので注意が必要です。
本来、贈与税は生前の贈与に対してかかるものです。
贈与税は、相続税よりも税金を多く払うことになると考えるのが一般的ですが、今回の事業承継のように価額変動のリスクがあるケースでは、相続時精算課税制度を利用することで、節税を見込むことができるのです。
相続時精算課税制度のメリット
1.贈与した時の株価で計算される
財産は「贈与時」の時価で評価されるため、相続時に自社株式の価値が上昇していることが見込まれるような場合には、相続税対策としても有効です。
相続時に株価を抑えようとして、会社の業績を下方調整しなくてもいいこともメリットとして挙げられます。
2.生前に多額の財産を贈与できる
相続時精算課税制度は「親から子への早めの財産承継を促すこと」が設立の目的であるといわれています。
2500万円までは贈与税がかからないため、子どもに多額の財産をスムーズに移行することができます。
2500万円までであれば、贈与財産の種類・金額・贈与回数に制限はなく、複数年にわたり利用できます。
相続時精算課税制度のデメリット
1.相続時精算課税制度を選択すると、途中で変更できない
一度、相続時精算課税制度を選択すると撤回できません。途中で毎年の贈与税の基礎控除110万円が使える暦年課税に変更することもできないので、110万円以下の贈与でも申告の必要があります。
2.相続が発生したときに、生前贈与した分も相続税の課税対象となる
相続時精算課税制度は、納税の時期を先送りする制度であると言い換えることもできます。
相続時精算課税制度を適用した贈与財産は、すべて相続財産として合算するので、相続税の節税にはならないケースもあり、注意が必要です。
相続時精算課税制度の利用に迷ったら、専門家にご相談を!
今回は相続時精算課税制度を利用した贈与税対策についてご説明しました。
事業承継を計画的に進めるためのカギとなるのは、「早めに準備する」ことです。
準備期間の早い段階で多額の財産を子どもに贈与できることは、この制度を利用するひとつの利点といえるでしょう。
また、将来的に株価の上昇が見込める場合にも効果的な制度です。メリット、デメリットを踏まえたうえで慎重に選択することが重要です。
子どもへの株式承継の際に相続時精算課税制度を利用を考えているものの、贈与税の計算方法や申告方法に不明点がある場合は、ぜひ湘南フロンティアにご相談ください。
初回相談は無料で、オンライン面談で全国対応もしています。御社にとって最適な事業承継の方法を提案させていただきます。